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(蘭亭序の模本のひとつ,図録より)
 
 2/1(金)に,東京国立博物館の平成館で行われている,「書聖王羲之」展を観てきました。
 開催前から新聞などで紹介されていたので,平日の午後の会場はたくさんの人でにぎわっていました。

 王羲之(303~361,諸説あり)は,4世紀の中国(東晋)の人です。

 書を学ぶ人であれば,名前ぐらいは知っている人が多いと思います。
 漢字の手本になる書を書いた人物です。
 代表作は,「孔侍中帖」(こうじちゅうじょう),「蘭亭序」(らんていじょ)など,たくさんあります。

 私もときどきこの人の文字を臨書(まねしようとして書く)します。

 今回の展覧会のタイトルに「書聖」とあるくらいです。まさに書道の歴史の最大のカリスマといえる王羲之。
 しかし,彼の真蹟(直筆の書)は,今はひとつも残っていません。

 今回の展覧会では,王羲之の書の模本(精巧な写し),拓本(石碑などの上から紙をあて,墨を使って写しとったもの)が展示の中心です。そのほか,王羲之に関連するさまざまな作品も多数集められていました。

 つまり,今回の「王羲之展」は,本人のオリジナル作品がひとつもない,「コピー作品」の紹介だけで成り立っているのです。それがこれだけ大規模に開催されています。
 書道の世界や王羲之をよく知らない人からすると,驚くことかもしれません。
   
 では,直筆が残っていないというのに,なぜ今日「書聖」といわれているのでしょうか?

 まず,7世紀に唐の太宗皇帝が,彼の書をたいへん評価し,賞賛したことがあります。
 太宗皇帝は,国じゅうの王羲之の書を集めて,優秀な専門家に精巧な技法で模本を作らせたり,初唐の三大家と言われる欧陽詢(おうようじゅん,557~641)などの能書(字の上手な人)に臨書させたりしました。
 それらのコピーは,お手本として後世にまで残りました。

 王羲之の最高傑作とされる「蘭亭序」に関しては,皇帝が家臣を使って所有者から盗みだして本物を手に入れ,自分の墓にいっしょに埋めたといわれています。
 しかし,その後中国は戦争で長きにわたって混乱していきました。そういうこともあり,王羲之の真筆は失われてしまったのです。

 こういうことは,今回の王羲之展の図録や,書道の歴史の本に書いてあります。 

 それにしても,王羲之というのは,何がそんなにすばらしかったのか。
 今回の展示をみて自分なりにわかったことがありました。
  
 今回の展覧会では,漢の時代(紀元前200年ころから西暦200年ころ)などの,「王羲之以前」の書や文字も展示されていました。
 こういう王羲之以前の「書」は,明らかに,私たちが慣れ親しんでいる「書」とは雰囲気が違います。

 やはり王羲之の書やその前後の時代の書のほうが,しっくりきます。現代の文字に通じるし,すっきりして読みやすい感じがします。
 王羲之の書であれば,難しそうだけど,ちょっと書いてみたいなあ~,がんばれば似たようなものが書けるかな,という気がします。漢の時代の「書」だと,そういう気にはなりません。
  
 王羲之の時代のころに,「書」の世界は何か大きな変化があったのだなと感じます。
 
 王羲之(やそれに近い時代のすぐれた書家)は,現代の私たちにもお手本として学びたい,という気持ちにさせてくれる書を,歴史上はじめて書いた人だということなのかな……
 この展覧会のチラシにある「書を芸術にした男」というのは,そういう意味なんだろうな。

 王羲之の書をすばらしいと集めようとした皇帝の気持ちが,なんとなくわかるような気がしました。

 こういう,王羲之の位置づけとかは,きっと本にも書いてあるのでしょうが,自分で現物をみて実感できるというのが展覧会のいいところ。
    
 いずれにしても,王羲之が影響を受けた書,王羲之が影響を与えた書など,これだけたくさん観れることはたいへん貴重な機会でした。
 できれば二度ぐらい観たいほどでした。

 今回観たたくさんの書かれた書のイメージを少しでも自分の勉強に生かせたらといいなあと思いました。
 
 今後も,王羲之については,またこのブログでもときどき触れていきたいと思います。
 
 ※書聖 王羲之展は,3月3日(日)まで,上野の東京国立博物館(平成館)で開催されています。
 「書聖」の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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[2013/02/08 17:12] | 書道展
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