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先月、当教室では珍しいお客さまの体験レッスンを行いました。

高1の女の子、中3の男の子とお母さんのご家族3人なのですが、夏休みでイギリスから帰省している間に家族で書道を勉強したいと連絡を頂いたのです。ブログで私の教室を見つけてくださったとのこと。

今回は帰国していらっしゃる間の3週の3回の体験ブログラムを考えて行うことにしました。

1日目は楷書の基本練習。
2日目は楷書で半紙にひと文字書く。
3日目は最後に夏休みの思い出、書きたい文字をうちわに書く。

体験初日。「こんにちは」と元気な声でやってきました。お子さんたちは少し緊張した様子でした。「今回はよろしくお願いいたします」とお母さん。

「先日みんなで大きな書道展を見て自分の好きな書の写真を撮ってきました。こんな字が書きたいです」とお母さんと娘さんはスマホで撮った写真を見せてくれました。

皆さんの体験レッスンに対する前向きな気持ちが伝わってきました。

「すてきな作品ですね。よい書を書いて夏休みのたのしい思い出にしましょう」とあいさつを交わしました。

お道具はお教室のものを使いました。硯や文鎮、筆置きなどの名まえをクイズにしたりしました。皆さん興味深そうに触っていました。
イギリスではときどき学校や地域のコミュニティなどで書道をする機会があるとのこと。そのときは簡易なお道具を使っていると話していました。
 
 きほん

まずは楷書の基本練習(横画一、縦画二)の練習からです。中3の男の子は左ききですが、今回は右手書くことに挑戦しました。「お手本とそっくり書いてみましょう」と話すと真剣に取り組んでいました。

「え、線が細くなってしまう」
「あ、できない」
「線が曲がってしまう」など親子の会話が聞こえてきます。

上手にできないときは、「もう少し墨をつけましょう。左手でしっかり半紙を抑えて姿勢を正しく」などと指導します。

だんだんとお手本の線に近づきました。上手に書けたところに大きくはな丸をつけると
「うれしい」とお母さん。
「お母さんいいなあ」と息子さん。
たのしそう。

初日の最後には「土」という字を書いて名前を入れて終了です。

左ききの息子さんは、「ああ難しかった」という言葉が。「でも、上手に書けているよ」とお母さんに褒められてうれしいそうでした。

「たのしかったです。また次回もよろしくお願いします」

無事に終わりました。

2日目。
基本練習の復習と半紙に楷書で一文字書く練習です。書く文字は「永」です。「永」という字には書道の八つの画の基本要素が入っていて、「永字八法(えいじはっぽう)」と言われる書道の指導に練習する課題です。

まずは前回の基本練習の応用編。縦画、横画の太い線と細い線を書く練習です。

どうしたら線が太くなるのか、細くなるのか。筆のはら(太いところ)までしっかり使うこと、筆の軸の傾け方などをときどき説明しました。

迷っているときは書いている筆に手を添えていっしょに筆を動かします。よい線が書けると、「へー、すごい。上手に書けました」と笑顔が見えました。

そして最後に「永」をいう字を最後に書いて終了です。皆さん、少しずつ教室の雰囲気にも慣れて充実した表情が見えました。
 
 永字八法

「次回はうちわに書ききます。書きたい文字は漢字でもひらがなでもよいです。考えてきてください」と伝えました。「何を書こうかなあ」と話していました。

最終日。うちわに自分の好きな字を書きます。

「書きたい文字を考えてきましたか」と聞くと、「はい!」と3人。

まずは前回の復習と漢字の成り立ちについて少し話しました。「漢字は、楷書、行書、草書、とありますが、どれが先に書かれたしょう」と質問。

「楷書?」という声が聞こえてきました。

「実は、(隷書)、草書、行書、楷書」の順番なんです」と書道の資料を見せて説明すると驚いた表情を見せていました。

いよいようちわに文字を書きます。

何という字を選んだのかと聞くと、
お母さんは、「朗、ほがらか」
中3の息子さんは、「蝉」
高1の娘さんは、「汗も」でした(笑)
それぞれ日本の夏の思い出の言葉とのことでした。

いままでも何度かこのような体験レッスンをしましたが、選んだ言葉がじつにユニークなものも。これは海外に住んでいる方ならではなのかなあと思いました。

私が皆さんが書きたい字のイメージを聞き、お手本を書きました。そしてうちわのサイズに切った紙に練習しました。「お手本はあくまで参考です。たのしく自由に書きましょう」とお話ししました。

「蝉はひらがながいいかな、カタカナもおもしろいかな」とか、「汗も、と書きたいけどバランスが難しい」など楽しそうな会話が聞こえてきます。私もうれしくなりました。

 うちわ2

 うちわ1

最後にはうちわ用の紙にお清書して終了です。飾り用も印も押しました。皆さんステキなうちわができました。

家族それぞれの作品をながめながらうれしそうでした。最後にみんなでうちわを持って記念に写真を撮りました。お稽古していた生徒さんともなかよくいっしょに。

 うちわ

 記念写真

終了後、アンケート用紙に皆さん「とてもたのしかった」に○をつけて、次のように感想を書いてくれました。

 かんそう

「先生はとてもやさしくて、いっぱいほめてくれたから楽しくできました!いっぱいかんちがいしていた事もなおしてもらいました。
これからも習字を楽しみたいです」高1の娘さん。かわいいイラストも描いてくれました。

「左手でも上手にできて、楽しかった」中3の息子さん。

「書道をイギリスでも続けていきたいです。とてもわかりやすくて、丁寧に教えてくださり毎回楽しかったです。ありがとうございました。
筆をいっしょに持って字を書いてくださったときは、筆の動かし方が全く想像しなかったもので、感動しました」とお母さん。

大変うれしいです。

家族でいっしょに書道を学ぶのはいいなあと思いました。皆さん短い期間で上手になりたい、きれいな字を書きたい、書道のことを知りたいと思う意欲と真剣に取り組む様子が印象的でした。皆さんの学ぶ姿勢に刺激を受けました。

そのあと、「また日本に帰ったときは書道をしたいです」と連絡がありました。

夏のよい思い出になりました。またこのような機会を作りたいと思います。
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[2022/10/22 08:17] | 体験教室
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